現代創作落語「ネカマ怖い」
えー、毎度ばかばかしいお笑いを一席。
私の友達にダイゴってのがおりまして、まあこいつの女癖がひどい。
風俗にいき、彼女とは必ずやってから別れ、挙げ句の果てに出会い系まで使う始末。
穴さえあればいいという始末で、知り合いの間では「選ばずのダイゴ」なんて呼ばれていました。
これを心配したのがシゲルという、私とダイゴの共通の友達でして。
「ダイゴはさあ、このままだと女絡みで死ぬよね」
「そうだね、でも、それで死ねるなら本望じゃないか」
「何言ってんだい文月さん。私もあいつの竿に突かれた口なんでさぁ」
なんて軽口を叩き合う中でして。
このシゲルという男、パソコンが大の得意で、
「俺ぁね、ネットで男釣ってアマゾンギフトカードをせしめるのが趣味なんでさぁ」
と公言してはばからない、言ってしまえばダイゴよりもたちの悪い男でして。
「俺ぁね、あいつのに少し痛い目見してやろうと思ってるんですよ」
なんていう。
私は気になって、少し聞いてみた。
「シゲルさん、どうやってあいつを懲らしめるんで?」
「いやねえ、あいつにLINEのネカマアカウントで近づくいて、駅で待ち合わせをさせる。そこに別のネットで釣った男を鉢合わせさせて、修羅場にさせるんでさぁ」
私は思いました。こいつとは縁を切ろうと。
でもまあ面白い計画なんで
「そうかい、じゃあうまく行ったら教えてよ」
「あいわかった」
なんて面白半分で言いましてね。
それからしばらくして
「文月さん、文月さん、大変なことになった」
「おう、どうしたよシゲル君。そんなに慌てて」
「まあ観てくだせぇ」
そう言ってダイゴのLINEのホーム画面を見せてきた。
何の変哲も無いキラキラした普通のホーム画面だ。
「これがどうしたんだい」
「よく観てくれよ。ほら」
目を凝らしてよく観ていると、ホーム画面は男二人で恋人繋ぎをしてた。
「お、おい。こりゃもしかしてあんた」
「そうなんだよ。ダイゴと釣った男を鉢合わせさせたら、そいつらその日の夜に繋がっちまったってわけなんでぇ」
「はあ、あいつ穴なら本当に何でもよかったんだねえ」
なんて二人で顔を見合わせまして。
しばらくして、ダイゴから結婚式の招待状が届いた。
何とびっくり、結婚相手も男の名前だった。
私はシゲルに言いました。
「これが本当の大穴だったんだねえ」
お後がよろしいようで。